タクシー運転手に舞い降りた奇跡 『チュム』

チュム・ポスター先週くらいに見たタイ映画『チュム』は
ちょっと悲しいけれど、心温まる小さな奇跡の物語でした。
ソムバットは孤独なタクシー運転手。
深夜シフトの彼は、客を求めてバンコクの街中を毎晩巡回する。たった一人で。
食事を共にする相手もなく、運転中に話す相手もいない。
そんな彼の唯一の心の拠り所となっているのが、
AMラジオのオールディーズ・チャンネル。
スピーカーから流れてくる懐かしき音楽に耳を傾け、
古いメロドラマに自分を没入させることで、孤独を癒す毎日を送っている。
彼にとって、オールディーズがすべての救いとなっている。
そんな彼の人生に、小さな奇跡とも言うべき出会いが訪れる。
場所は閉店間際のとあるソープランド。
いつもの客待ちスポットでヌアンという女性に出会う。
ヌアンは妹の学費を捻出するために、体を毎日売り続けるソープ嬢。
毎日体を酷使し、心身ともに疲れ果てている。
そんな彼女の心の琴線に触れたのが、
タクシーの中に流れるオールディーズと、それを愛するタクシー運転手。
ソムバットの生き方、素朴な性格に好意を持ち、
食事やショッピングに誘うヌアン。
それに戸惑いを覚え、素直に受け入れることが出来ないソムバット。
二人はお互いに惹かれあうようになるのだが、
ソムバットがうまく気持ちを伝えられないうえに、
さまざまな災難が彼の身の上に降りかかったおかげで
なかなか上手くいかない……といったお話。
ソムバットはか~な~りツイてないやつで、
マルチ商法に引っかかったり、強盗にあったり、
男に強姦されそうになって逆に殺しちゃったり、
挙句の果てに車に轢かれちゃったりと、もう散々です。
そんな彼が、苦労と苦難の末に幸せをつかむ。なかなかいい話です。
ソムバット役は、役者としても活躍するコメディアン、
ペットターイ・ウォンカムラオ。
日本公開のムエタイ映画『マッハ!!!!!!』でもトニー・ジャーと競演しているので、ご存じの方も多いはず。
そして監督はコンデート・チャートゥランラッサミー。
前作の『サイウ』がなかなか変で面白かったので見に行きました。
(『サイウ』については今度レビューするつもりです)
今作はまぁまぁよかったって感じです。
バンコクに住んでいるタイ人の中でもそこそこ下層の人の生活を描いていることと、
そこに住む人たちが日々直面している社会問題が浮き彫りになっているので、
この点では興味深く見ることができました。
でも、ストーリー展開も映像も普通といえば普通。
見てて腹が立ってくる作品も多いタイ映画の中では
けっこうよくできた部類に入るのではないでしょうか。
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チュム01