都会に花咲いた壮大なメルヘン 『マー・ナコン』

Citizen Dog昨年末に見た『マー・ナコン(CITIZEN DOG)』がなかなか良かったので、ご紹介。
この作品は『怪盗ブラック・タイガー』の監督、
ウィシット・サーサナティアンの次回作にあたるんだけど、
この『マー・ナコン』も、まさにブラック・タイガーの発展型。
ブラック・タイガーはレトロな色使い画面が注目を浴びたタイ製西部劇なんだけれど、
今回も変な色使いの画面で変な世界観を描き出しています。
普通の画面と、着色合成したような画面を組み合わせていて、
しかも、それがストーリーの描き出す変な世界観にピッタリと合っていて、
この色使いだけでも見る価値のある映画といえそう。
都会に住む小市民2人の間で繰り広げられる壮大なメルヘンといった感じ。
田舎から出てきてガードマンの職に就いたポッドは、
同じビルにてメイド(清掃婦)として働くジンに惹かれるようになる。
なぜなら、ポッドには人生の夢がないから。
自分の夢のためにまっすぐ突き進んでいく彼女の姿が、
ポッドにはまぶしく見えたのだ。
ジンは、外国語で書かれた白い本をいつも読んでいる。
いや、実は文字を目で追っているだけだ。
この本は、田舎にいたときに(飛行機の墜落事故が近くであったせいで)
偶然、自分の目の前に空から降ってきたもの。
ジンは、これを神様か何かからのお告げと思い込み、
「これが読めるようになれば、私の人生は素晴らしく変わるはず!」
と考えるようになる。
そして、その本を読める人を探す、または自分が外国語を学ぶために、
バンコクに出てきたのだ……。
Citizen Dog02
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といった感じのあらすじなんですけれど、
このジンちゃんがめっちゃエキセントリック。ぶっちゃけ『アメリ』っぽいんです。
マンガの登場人物と仲良くお話したり、
ペットボトルで都内に山を作っちゃったりします。
主役の二人を取りまく登場人物もやっぱり変で、
空から大量に降ってきたヘルメットに当たって死んだけど、
まだ現役バリバリのモタサイ・ドライバー。
しゃべるクマのぬいぐるみ。
クマの持ち主で、イケイケなギャルの格好をしてるんだけど、
どうみても8歳の女の子。
ヤモリに生まれ変わってポッドに会いにきたおばあちゃん。
などなど、それぞれのエピソードも織り込まれていきます。
でも、やっぱり『アメリ』を思い出しちゃうんですよね。この映画を見てると。
僕が好きなのは、映画の冒頭のシーン。
この映画、元々はモダンドッグのPODが関わっている話らしく、
(彼は本編には出てこないんだけど、主役に彼の名前を使ってます)
主題歌もモダンドッグの「ゴーン(before)」なんだけど、
その曲が物語の冒頭に、ミュージカル風に入ってきて、
道歩く人とか、バス停でバス待っている人とか、交通整理の警官とか、
とにかく画面に出てくる人みんなで合唱するのね。
その歌ってのが、これから起きる話を象徴していて、またいい。
空がすっきりと晴れる前 日差しがポカポカと暖かくなる前
植物がその花を咲かせる前 夢がとても甘くなる前
私の心の中には何もなかった
あなたの愛情が入ってきて、私の目を見開いてくれるまでは

って感じの意味です。いい歌詞だよ。これ。
この曲、パブが閉まるときとかに超たま~にかかるんです。
こんな真っ直ぐ真っ直ぐなラブソングがですよ。
で、タイ人は、これを聞きながら、みんなで合唱するわけですよ。
すんごく楽しそうに。
タイっていいよなぁ、って思う瞬間です。
最後のポッドがジンに言う台詞も泣かせるんですが、
これ言っちゃうとネタばれになるので言えません。
まぁ、とにかく観てみてください。
バンコクのことがもっと好きになります。きっと。