未来世界の空気感 BUAHIMA「CHIT-TAK!」日本盤

BUAHIMA「CHIT-TAK!」日本ではCDを3枚ほど買ってきました。
といっても、タイのアーティストのCDなんですが。
その中でも一番のお気に入りがこれ。BUAHIMA「CHIT-TAK!」日本盤です。
BUAHIMAは、小説家、プラープダー・ユンによって2003年に結成された音楽ユニット。
このプラープダー・ユンという名前、タイのカルチャー・シーンに興味のある人やタイ映画好きなら一度は聞いたことがあるはず。
もし聞いたことがなければ、ノート開いて速攻でメモっておいてください。
それくらい、タイのカルチャー・シーンにおいて重要な位置を占めている小説家です。
昨年日本でも公開された映画『地球で最後の二人』の脚本&原作を担当したり、東南アジア文学賞を受賞したりしています。
その書く小説はこれまたおしゃれ。トレンディって感じです。
実験的な要素を取り入れつつ、都会っぽい雰囲気の作品に仕上がってます……な~んて知ったかぶりを書いてますが、
僕はまだ3編しか彼の作品を読んだことありません。残念!
こういう作品がすらすら読めるようになりたいものです。
で、そんな彼が2003年に『CHIT-TAK!』という作品を発表したとき、
「映画にサウンドトラックがあるんだから、小説にもサウンドトラックがあってもいいじゃないか」という発想で、
インディーズ・レーベルSmallroom(のプロデューサー、ジェー=ジェータモン・マラヨーター)と組んで立ち上げたユニットが
このBUAHIMAなわけです。
でもって、2003年には小説と同名タイトルのアルバム「CHIT-TAK!」を発表。
でもって、2005年9月7日にfelicityレーベルのpaperback soundから日本盤がリリースされました。
相変わらず前置きが長くてすんませんが、とにかくそういうアルバムなんです、これ。
元の小説自体は120年後のタイを舞台に繰り広げられるSF仕立ての物語なわけですが、
そのサウンドトラックとなるこのアルバムも「未来の風景」を聴き手に見せることをコンセプトにして作られている……ようです。
うまく書けないんですけど、特に1曲目から3曲目までをじっと聴いていくと、徐々にこの小説内に描かれているであろう未来の風景が脳裏に浮かんでくるような、そんな一枚になってます。
そんでもって、さらに注目したいのは歌詞。
タイの音楽というと、メジャー/インディーズを問わず「めちゃくちゃ直接的な歌詞」が横行しています。
「キットゥン(I miss you)」やら「チャンラックター(I love you)」やらがバンバン出てくるわ、隠喩も風流もへったくれもない歌詞がほとんどを占めてるんですが、
この現状に対して、プラープダーは「タイの作詞家は怠けすぎだ!」と、強烈なアンチテーゼを投げかけるかのごとく、
小説家としての言語能力を最大限に使った作詞をしています。
「キットゥン(I miss you)」や「チャンラックター(I love you)」なんて一切なし。
「新しいタイ語歌詞の世界は俺が切り拓くぜ、オラオラ!」といわんばかりに、時にはとんでもなく詩的、時には一読して意味がわからないような難解なフレーズを繰り出してきます。
これがまた、従来のタイポップスに単調さを感じている人には
なんとも新鮮な感じを与えてくれます。
特にヒットした3曲目の「ローク・マイチャイ・コーン・ラオ」なんか、
「世界は僕らのものじゃない 彼に返しに行こう」
「空は僕らのものじゃない あんまり見つめちゃいけない」
なんて、環境問題を思わせるような出だしで始まった歌が、
途中からいきなり悲しい恋の歌になっちゃうわけです。
この歌詞の一つ一つがめちゃくちゃかっこいいです。
この辺は、日本盤を買えば全部日本語訳がついてきます。
その歌詞にしびれちゃってください。
日本で買えます。タイじゃもう売ってません。
でもって買ったら、バンコクに来て、夜になるまで待って
53番か172番の路線バス(ノーエアコン)で街を流しながら
i-podかなんかでこのアルバムを聴きながら外の風景を眺めてみてください。
現実のレトロな風景と、アルバムの中の「未来の風景」のギャップが
妙に心に染み入ります。素敵です。
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