2013年最初の大ヒット作! 人気女優・チョムプーが泣きまくる(だけの?)タイ映画『クン・ナーイ・ホー』

KHUNNAIHO
2013年、タイ映画で最初の大ヒット作となったのがこちら、昨年12月27日に公開された『クン・ナーイ・ホー』です。
公開された直後から「タイ国内の週末における劇場映画興行成績ランキング」3週連続首位をキープ。総合の興行成績でも、1月20日の段階ですでに8780万Bを突破し、8750万B台の『ホビット:思いがけない冒険』をわすかに超えております。今週もまだ公開されているので、このまま行けば9000万Bは確実にいくでしょう。
個人的には「興行成績1億B以上」「その年を代表するヒット作品」の基準だと思っているのですが、それに次ぐ水準のヒット作といえると思います。というわけで、もう1周間も前になりますが先週の土曜日に観てきました。


タイトルの『クン・ナーイ・ホー』とは「泣き虫お嬢さん」といったような意味。もし邦題をつけるとしたら「森ガール」とか奥田英朗原作の映画「ガール」とかに引っ掛けて『泣きガール』みたいな感じですかね? 担当者がオヤジギャグ好きなら『泣きたガール』みたいにしょうもない捻りを一個入れてくるかもしれません。
■『クン・ナーイ・ホー』予告編


どういう作品かとひと言でいうと、何かあるとすぐ泣いてしまう女の子・ホーが泣きまくりながらストーリーを進めていくクライング・コメディ。「家族の愛情と絆」、「人生の伴侶探し」や「子作り」といった人生における重要なテーマを描きつつも、基本的にはかなりコテコテのコメディ・タッチで話が進んでいく、という作品になっています。
でもって、今作の一番の話題となるのが、主役を務めるホーを人気女優&モデルのチョムプー・アラヤーが演じ、コメディエンヌに初挑戦する、ということ。特に、整った顔立ちの彼女がその顔を崩して泣きまくる、という点が世間の話題にもなり、一番の見どころでもあります。
まーとにかくよく泣くんですわ、このお方。ちょっと困っては泣き、先に結婚する友達が羨ましいといっては泣き、うれしい時にも泣きまくり。なぜ泣いてしまうかは本人にも分からないという有様。所構わず泣きすぎる事が原因で笑われたり、彼氏に少し迷惑がられたりもしてしまいます。
観ていてその泣きっぷりに感心してしまうくらい。特に長回しで、泣き始めたところ、父親に「泣き止め!」と叱られて一瞬泣き止むもまた涙がじわじわ出てきて、また父親に……と延々繰り返すシーンはチョムプーの「泣き力」が観られてなかなか面白かったです。
ですが、この作品の見どころは、言ってしまえはそれだけです。それ以外はことごとく中途半端な内容に仕上がってしまっているように感じました。
ここから数行先からちょっとネタバレが入ります。できるだけボカして書きますが、ネタバレは嫌!という方は読まないでください。
ストーリー上のテーマの一つに「家族の愛と絆」だけでなく「家族との死別、喪失」といった重たいテーマが語られているわけですが、肝心の家族役がベタなコメディ映画の常連コメディアン。しかも、役柄が自分の家でも迷彩訓練をし、普段も軍人口調で喋るような軍人馬鹿の父、Youtubeに「化粧の仕方」や「ダンス」のレッスン動画を上げるのが趣味なゲイの弟の2人。これじゃあ重いテーマも台無しです。
もう一つのテーマである「人生の伴侶」「子作り・出産」もストーリー上はかなり重い展開になっていくのにも関わらず、それに対する登場人物たちの対応はあくまでもベタなコメディ映画のノリで非常に軽いものになっています。
最後まで観終わっても、なんで主人公は泣きまくっているのかいまいち分からず。一応「所構わず泣く彼女には、彼女が泣くことを受け入れてくれる人や、一緒になって涙を止めようとしてくれる人が人生の伴侶として相応しいんだよ」という結論を導き出して終わるわけですが、でもそれ、観てる人にはかなり最初の方で伝わってたよ!? 要するに「あ~、最終的にこいつとくっつくのね」と思いながら1時間半くらい延々と観るはめになるわけです。
でもって、結局「家族愛」方面のテーマには主役が泣くことは「家族全員がエキセントリックな癖の持ち主にする」事以外にまったく絡んでなかったし。その部分もなんだか残念でした。
というわけで、「チョムプーの泣きの演技」以外、この作品がなんでこんなにヒットしているのか、さっぱり分からないまま1週間ほど過ごしておりました。タイ人的にはなにか心に響くものがあったりするんでしょうか? 観に行かれた方、「何いってんだよ、この作品はここがすごいの!」という所がありましたらぜひ教えてください。
あ、でもLa Ong Fongのこのテーマソングはかなり気に入ってます。ライブで聴いてみたいところ。
■La Ong Fong「ンゴーゲー・ンゴーゲー」(たぶん「ワーンワーン」と泣き声を示す擬声語)

とはいえ、これだけ長い文章を書いちゃうってことは、それだけ心に残るものが何かしらあった作品なんだよなぁ。もう1回くらい観に行ってみようかな?