硬派+哀愁カバー。Hanuman @ Cosmic Cafe

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バンコク都内は相変わらず洪水の影響でコンビニからビールがなくなったり、各種イベントが中止や延期になっているのですが、たまに夜遊びに出てみると、お客がそこそこ入っていたり、アルコール類も意外としっかり在庫があったりして、この街の「夜遊びパワー」に今更ながら感心させられたりします。
そんなわけで、もう2週間も前になりますが、ラップラオ通りに水が迫っていた11月5日、サタデーナイトということで夜遊びに出かけて来ました。お目当ては日本からやって来ているタイポップ・カバーバンド「Hanuman」のライブです。
会場はRCAのCosmic Cafe。最近はここに2週間に一度くらいのペースで足を運んでるような気がします。


ここでHanumanをご存じでない方に簡単に説明すると、彼らは日本で活動するタイポップのカバーバンド。メンバーは全員日本人で、ボーカルのShinさん(Shin-no-suke)以外はほとんどタイに来たことがないそうです。
タイを訪れてタイポップの魅力に取りつかれたShinさんが音楽仲間を勧誘してタイポップ・カバーバンド「Hanuman」を結成。
タイのヒット曲をスタジオでカバーした動画をYoutubeに次々とアップしていた所、それに気付いたタイ人がFacebookで「タイの曲を演奏している日本人がいる!」と話題に。
そこから本家のアーティストに知らせるタイ人が出てきたり、ファンのタイ人がHanumanのプロモーションに積極的に動いたりして、なんと、昨年のFat Festivalに招かれて出演、というウルトラCを成し遂げました。
ちなみに、このFat FestivalのライブがHanumanとしての初舞台だったとか!
(もちろん、各メンバー音楽歴が長いので、別のバンドでのライブ歴は豊富)
Fatでのライブを大成功させた後、地元のテレビ局や雑誌に出演して一躍注目を浴び、今年3月にはパタヤ国際音楽祭という大舞台に再び招かれます。
そして今回の訪タイでは2年目のFat Festivalに出演!……する予定が、洪水でイベントが延期に。そのため、同じ日程で単独ライブをやろう、と開催されたものが11月5日のライブだったわけです。なので、イベント名にもFat Radioの名前が入っています。
そんなこんなでライブ当日の「Cosmic Cafe」。10時半頃に入店したのですが、店内のテーブルは9割方埋まっている状態でした。洪水なのでもっと少ないかと思ったけど、さすが月頭の土曜日です。
「Cosmic Cafe」は洋楽好きの渋好みの店なので、普段は年齢層が高めで落ち着いた感じの客層が多いのが特徴です。
一方、「Hanuman」は、どちらかと言うと若いタイ人に受けている印象。演奏する曲も、タイ人ならみんなが知ってるような、どメジャーなタイポップスがメインです。
でもって、この日の客層はというと……いつもどおりの落ち着いた感じ。音楽とお喋りを肴にまったり酒を飲む、といった大人な客層で、Hanumanにとってはかなりアウェーな会場じゃ?と少し心配になりました。
とりあえずビールを飲みつつ、友だちと喋りながら待つこと1時間。洪水危機まっただ中のこの日はビールが品薄だったようで、最初に飲んでいたタイガービールがまもなく品切れになってしまいました。しょうがないので唯一残っていたヒューガルデンをぐいぐい飲んで、良い感じに酔ってきた頃、ライブが始まりました。
Hanumanはメンバーが全部でおそらく11人(!)と大所帯のバンドになっています。これは、みんな社会人なので、「ライブの時に仕事が入って行けない人が出てくる」という事を見越して、行ける人だけでライブできるようにするためだとか。今回はそのうちの6人が参加していました。
11時半すぎにライブがスタート。まずはアップテンポな曲の連打で攻めていきます。4曲目くらいまでは曲間が一切途切れさせずに、次々と演奏していました。
Hanumanのライブを見るのはちょうど1年前のFat Fes以来なんですが、出だしからなにか印象がガラっと変わってました。
1年前は初ライブってことで若干上滑りしてる感じがあったのと、屋外という舞台設定のせいか、明るくさわやかな印象だったのですが、今回はCosmic Cafeという場に合わせたのか、それともバンドとして進化したのか、ものすごく硬派な印象です。
どのカバー曲もそんなに派手なアレンジを加えているわけじゃなさそうなのに、原曲とはまったく違った印象に変化しています。なんというか、全体的に硬い! 硬派! タイポップスが本来持っている「甘さ」がかなり軽減されて「ビタースイート」くらいになっている気がしました。
そして、楽曲を日本人的に解釈したからなのか、演奏の根底部分に哀愁が漂っています。本人たちは嫌がるかもしれませんが、「わび・さび」の心が反映されていると言ってもいいかもしれません。
この硬派な感じ、そして哀愁。そこら辺がとても日本人らしいカバーに仕上がっていてとてもよかったです。たぶん、こういう感じのカバーはタイ人にはできません。
そして、心配していた客の反応はというと!

超ノリノリでした。

客の反応からするとHanumanを見に来た人が半分、いつものCosmic Cafeを楽しみに来た人が半分と言った感じでしたが、後者の人々もライブに注目してます。
アップテンポの曲で4曲ほど一気呵成に攻めた後は、ひと休み入れてピアノソロからのBig Assの「フアジャイ」
ボーカルとチェロ、そしてキーボードの3人構成でしっとり攻めて、そこからHanumanのオリジナル曲でじっくり聴かせます。
そしてライブの最後を締めくくったのは3AM「Gambattene」


もともと東日本大震災のときにタイ人アーティストが日本人を励ますために作った曲です。今回は洪水の被害に悩むタイ人を励まそう、とこの曲をカバーしたわけです。
それまでノリノリで聴いていたり、お喋りに夢中だったのに、この曲が流れ出したとたん、じっと聴き入るタイ人たち。身動きひとつしないで聴いている人もいました。曲がさびの部分に差し掛かると、そっと目を手で覆うタイ人も若干名。
まさに胸が熱くなるライブでした。
個人的な感想・意見を列挙すると、
・1年前に見たときより、格段にいいライブだった。特に「タイポップスの日本人ならではのアレンジ」が聴けたのはとてもよかった。
・ただ、後半に入ってからずっと「しっとりタイム」だったのが残念。ラスト前にもうひと盛り上がりほしかった。
・カバーする曲が最近5年以内に流行った曲ばかりというのも残念。新しい曲も演奏しつつ、何曲かは「不朽の名曲」をカバーするといいと思う。アサニー・ワサンとか、Moderndogの初期の曲とか。それをやることで「え、日本人がこんな曲も知ってるの?」という注目を浴びられる。
・そういう曲で一番はずさないのはModerndogの「ブッサバー」。新メンバーのチェロの人に引っ掛けてPang Nakarinの「フアラーン・ジャイノーイ」も盛り上がるかも。
・あとはライブとは関係のない話なんだけど、MCが一気に全部話しすぎ。日本語で1分くらいずーっと話した後でタイ人の通訳が訳してたけど、元の日本語が長すぎるので、かなり省略した訳になってしまっていた。
通訳が入るときは1文ごとに区切って、通訳してからまた話す、という感じにした方が訳しやすいし、観客にも伝わりやすいのでは?
と、いろいろ好き勝手書いてしまいましたが、こういう風にたくさん書きたいことがあるってことはいいライブだったってことで。
ライブ終了後は軽く挨拶した後、RCA隣のシティリゾートでまったり飯を食って帰宅しました。